アキレス腱炎
Bodymaintenance
アキレス腱とは踵後面から上部に伸びる腱のことで、腓腹筋とヒラメ筋という筋肉の腱です。
この腱が炎症を起こした状態が『アキレス腱炎』ですが、一度発症すると治りづらく多くの方を悩ませています。
マラソンなど長距離を走る競技や、ランニングや方向転換・ジャンプ動作などを含む球技などによる発症が多いとされています。
発症原因としてはオーバーユースによる患部への過負荷が多いですが、下肢の柔軟性や筋バランスの低下・足部のマルアライメント(関節の配列の悪さ)などにより必要以上に患部に負荷がかかり易くなっているケースも多いです。
私も学生時代にラグビーをやっていて、アキレス腱炎をしばしば発症しました。
当時は、アスレティックトレーナーなどの専門家がチームにおらず中々治らずに苦労した記憶があります。
今回は、この『アキレス腱炎』について予防や改善方法などの情報をご提供致します。
まず、アキレス腱に痛みがある時は可能であれば運動量を減らし、患部にかかるストレスを軽減させてください。
また、予防の意味も込めて練習や運動後は15分~20分アイシングをして炎症を予防してください。
シューズやスパイクが足に合っておらず必要以上にストレスがかかっているようなケースも少なくありません。
自分の足にあったシューズやスパイクを選び、また古くなって形が崩れてくる前に新しいものに取り換えるなどの注意も必要です。
次に簡単に出来るセルフケアをいくつかご紹介します。
まず足首周囲の筋の柔軟性が低下しないようにします。
ストレッチポールにふくらはぎを乗せて少しずつ動かし、筋を緩めます。
後面だけでなく外側や内側など、乗せる位置を変えながら行ってください。
あまり長時間やると逆に筋が挫滅して硬くなってしまう恐れもあるので30~60秒程度にしておいてください。
ストレッチポールがない場合はテニスボールなどでも代用が可能ですが、あまり硬いものを使うと筋を痛める可能性があるので気を付けてください。
そして、次に緩めたふくらはぎの筋肉をストレッチします。
壁に両手を着き、脚を前後に開き後ろの脚の膝を伸ばし、踵が浮かないようにストレッチします。
もう一つのバージョンは後ろの脚の膝を曲げて同じようにストレッチします。
膝を伸ばしたままだと腓腹筋が、膝を曲げるとヒラメ筋がよりストレッチされます。
ここでストレッチについて、少しお話させて頂きます。
筋の柔軟性は怪我の予防や競技力向上に重要ですが、ただ単に柔らかければいいという訳ではありません。
特に陸上の短距離や跳躍の選手、俊敏な動きが要求される球技などの選手にとっては筋や腱の硬さは瞬発力を産み出す大事な要素にもなります。
ゴムをイメージしてもらうと分かり易いと思いますが、柔らかいゴムと硬いゴムでは両側から引っ張り、片方を離した時の衝撃は硬いゴムの方が強いのは当たり前です。
筋肉にはこのような伸び縮みする性質があるため、大きな力を発揮するためには硬さも必要になります。
個人差もありケースバイケースではありますが、闇雲にストレッチすればいいという訳ではなく、必要に応じてストレッチをすることが重要です。
例えば、左右での柔軟性の差が大きく怪我の原因になってしまう場合。
競技特性などにより負担のかかりやすい筋のメンテナンスのためにストレッチをする。
このようなケースでは適切なストレッチが必要です。
今回のアキレス腱炎についても予防や症状改善のためにストレッチは有効な手段の一つです。
最後にもう一つセルフケアをご紹介します。
カーフレイズと呼ばれるエクササイズですが、立った状態で背伸びをするように踵を上げ下げします。
単純なエクササイズですが、踵を上下する際に親指と小指に均等に体重が掛かるように気を付けることで、筋バランスや下肢のアライメントを整える効果もあります。
特に小指側に体重が掛かってしまい外側荷重になりやすいケースが多いので注意してください。
今回は『アキレス腱炎』についての情報をご提供しました。
私自身そうでしたが、アキレス腱炎は中々治らないケースも多く、アスリートの場合はこれが原因で引退される選手もいます。
今回、ご紹介したセルフケア等で改善しない場合は足部や骨盤のマルアライメントが原因になっているケースも考えられます。
中々治らない時にはお気軽にご相談ください!!