膝のリスク因子
Bodymaintenance
スポーツをされている方や、中高年の方で膝の怪我や痛みでお悩みの方は多くいらっしゃいます。
前十字靭帯や内側側副靭帯などの靭帯損傷、半月板損傷などスポーツによる急性外傷。
ランナーズニー(腸脛靭帯炎)、ジャンパーズニー(膝蓋腱炎)、膝の動揺性に起因する半月板損傷などのスポーツによる慢性の痛み。
また中高年の方に多くみられる変形性膝関節症に代表される進行性の変性疾患。
これら膝の外傷を予防することは重要ですが、スポーツでの急性外傷ではどうしても予防しきれないケースもあると思います。
しかし、たとえ急性外傷であっても予防できるものもありますし、慢性の痛みに対しては予防がさらに有効になります。
また、変形性膝関節症などは加齢により軟骨がすり減ったり、膝周囲の筋力低下が原因とされますが、これも正しいトレーニング等で予防したり進行を遅らせることは可能です。
スポーツ外傷も進行性の変性疾患もまずは膝に対するリスク因子を見極め管理することが重要です。
そのリスク因子の一つに、下腿外旋症候群と呼ばれる状態があります。
下腿(膝から下の脛の部分)が外旋(外側に捻じれ)して外方偏移(外側にずれる)してしまうアライメント異常のことです。
このリスク因子を抱えていらっしゃる方は多いと思いますが、その治療には筋肉の癒着を剥がす等、専門家の協力が必要になります。
今回はまず、ご自身の膝に対するリスク因子をチェックし、それを管理する方法として特に足首の柔軟性と股関節周囲のお尻の筋力の2つについてお伝えさせて頂こうと思います。
膝の怪我や痛みに対するリスク因子は実は膝以外の箇所にある場合が多くあります。
特に股関節と足首という膝の上下に位置する関節からの影響を受けることが多いです。
Knee is victim.(膝は犠牲者)という言葉がありますが、これは膝以外の箇所の影響で膝の怪我や痛みの原因になることが多いことを物語っています。
まず足首の柔軟性ですが簡単にチェックする方法として『しゃがみ込みテスト』があります。
両足の内側をピッタリと合わせて立ちます。
そのまま下までしゃがみます。
その際、後ろに倒れてしまったり、踵が浮いたり、両足の内側が離れてしまわないようにしてください。
両手を腰の後ろで組んでしゃがめれば3ポイント、両手を腰の横に当ててしゃがめれば2ポイント、両手を前方に伸ばした状態でしゃがめれば1ポイント、下までしゃがめなければ0ポイントです。
※この写真は1ポイントです
最低でも1ポイントは獲得できるようにしたいものです。
もし、下までしゃがめない場合は足首の柔軟性不足で膝のリスク因子になってしまいます。
改善方法として簡単なストレッチをご紹介します。
壁の前に立ち、つま先を壁にまっすぐ向けた状態で膝を壁につけます。
この際、膝がつま先に対して内側や外側に移動しないように2~4本目のつま先の真上に膝がくるように意識してください。
また、踵が浮いてしまわないように気を付けてください。
正しい動作ができるギリギリの位置になるように、つま先と壁までの距離を決めます。
無理のないように6~8回繰り返し、それを2~3セット行ってください。
楽に出来るようになれば少し壁からの距離を離します。
次に股関節周囲の筋力チェックをご紹介します。
お尻の外側には膝の動きをコントロールするための大事な筋肉があります。
この筋力が低下すると膝のコントロールが上手くできずに怪我や痛みの原因になってしまいます。
また、この筋肉は足首の捻挫の後に低下する傾向があると言われていますので、捻挫の経験のある方は是非チェックしてみてください。
まず床に対して身体が垂直になるように横向きに寝転びます。
耳、肩、腰、膝、足首まで一直線になるように意識します。
そして、上側の脚を天井の方向に挙げます。
この際、身体は床に対して垂直をキープし、脚も前後にブレないように一直線の位置を保ちます。
この状態を正しく保てれば1ポイント、身体が床に対して垂直を保てなかったり上側の脚が前後にブレてしまえば0ポイントです。
もし、他に手伝ってくれる方がおられる場合は上記の状態から上の脚の膝よりもやや上を床に対して押してもらいます。
この際に中程度の押しに抵抗して脚の位置を保てれば2ポイント、強めの押しに抵抗して脚の位置を保てれば3ポイントです。
もし、0ポイントもしくは1ポイントしか獲得できない場合は筋力不足となり膝のリスク因子となってしまいます。
この場合は筋力向上のエクササイズが必要です。
上記のテストと同じ要領で横向きに寝た状態から上の脚を正しい姿勢を保ったままで天井に向けて挙げます。
1ポイントだった方は正しく反復できる範囲で6~8回、2~3セット繰り返します。
0ポイントだった方は上記と同じ姿勢から両膝を少し曲げます。
そして、足部は着けたままで上の脚の膝を挙げます。
正しい姿勢が保てる範囲で、これも6~8回、2~3セット繰り返します。
膝の怪我や痛みに対するリスク因子を、このように自宅で簡単にチェックして改善するためのエクササイズをご紹介しましたが、どうしてもご自分で出来ることには限界があります。
今回ご紹介した方法だけでは十分でない方や不安な方はいつでもご相談ください!!