首の痛み・手や指の痺れ-頚椎症-
Bodymaintenance
頸椎(背骨の首の部分)は7つの椎骨と呼ばれる骨により構成されています。
それぞれの椎骨の間には腰や胸(腰椎、胸椎)と同じように椎間板がクッションのような役割を果たしています。
この椎間板の加齢やスポーツなどによる変性や、椎骨の変性による骨棘の形成、また頸部の靭帯が厚く硬くなることなどにより、脊柱管(脊髄の通り道)や椎間孔(首からの神経の通り道)が狭くなり、頸部の痛み・手や指などへの痺れなどの症状が現れる状態を『頚椎症』と呼びます。
症状が重度でない場合は保存療法が選択されることが多いです。
頸椎カラーなどにより安静を保ち、痛み止めなどの服用により症状を軽減させる方法が選ばれます。
また、牽引療法やホットパックなどによる温熱療法が選択されることもあります。
しかし、最も重要な予防(症状の改善も含む)には日常生活での姿勢が大きく影響します。
特に最近はパソコンやスマホを長時間使われる方が多く、そのような状況では頭部前突姿勢(頭が前方に偏移した姿勢)で過ごす時間が長くなり、猫背になってしまいがちです。
頭の位置が前方になると、それを支える首の筋に大きなストレスがかかります。
また、頸椎の下部は屈曲、上部は伸展の状態で固定され、頸部下部の筋は伸ばされ、上部の筋は過収縮して頸部へのストレスがさらに増加します。
そこで、頚椎症を予防するためにも日常の姿勢改善、特に頭部前突姿勢を改善するために頸部・胸部のセルフケアをいつくかご紹介します。
まずはストレッチポールを使ったセルフケアからです。
ストレッチポールに仰向けになり両腕を床に垂らします。
腕の重さで胸が開き胸筋のストレッチになります。
次にストレッチポールを横向けにして肩甲骨の下半分を乗せるように仰向けになります。
頭を後ろに反らさないように両手で支えて、アゴを引いた状態で胸を張ります。
そのポジションをキープすることで胸椎伸展のストレッチになります。
ストレッチポールがない場合はテニスボールなどを肩甲骨の内側に置いて仰向けになることで代用できます。
その次は、両膝立ちから両手の小指を床に向けた状態で前腕をストレッチポールに乗せます。
肩をすくめないように気を付けながらストレッチポールを転がして上背部をストレッチします。
これもストレッチポールのない場言いは椅子などで代用できます。
次は首の前部と胸部のストレッチです。
5~6㎝くらいの高さのパッド(ブランケットなどでも代用できます)の上に背中を乗せ、両膝を曲げた状態で仰向けになります。
頭はパッドの外に出しますが、頭が後ろに反ってしまわないようアゴを少し下に引いて頸部のアライメントをニュートラルにします。
両手を肩の高さで横に広げ、パッドの外に垂らして胸をストレッチさせます。
このポジションで吸う時は鼻から、吐くときは口から大きく呼吸をします。
また、頭部前突姿勢を予防・改善するための簡単なエクササイズを一つご紹介します。
以前にも『肩コリの改善』でご紹介した“チン・イン(Chin-in)”というエクササイズです。
このエクササイズは頭部前突姿勢により、伸ばされた頸部下部の筋を収縮させ、過収縮した頸部上部の筋をストレッチする効果があります。
まず、壁の前に立ち背中を壁につけます。
そして、アゴを引いて後頭部を壁に押し付けるように力を入れます。
慣れてくれば床に仰向けになり同じくチン・インをします。
頭部を後方に引く筋力がついてくると胸部を床から浮かすことも可能です。
この際、腰が反ってしまったり、肩をすくめるように肩が頭の方向に上がらないように気を付けてください。
正しい動作で5秒キープを無理のない回数繰り返すようにしてください。
頚椎症予防に関して、日常生活で注意して頂きたいことが何点かあります。
まず、同じ姿勢を長時間続けないことです。
特にパソコンや事務作業などでの椅子座位は頭・頸部を含め姿勢にネガティブな影響を与えます。
可能なら20分ごとに立ち上がって背伸びなどのストレッチをするようにしてください。
また、寝ているときの姿勢も頸部に大きな影響を与えます。
寝ている姿勢で頸部にストレスがかからないように適切な枕を選びましょう。
硬くて高い枕は頸部に負担がかかるため、柔らかくて大きめのものを使うようにしてください。
寝返りを打って枕から頭が落ちて、首に負担がかかることもあるので出来れば横に長い枕にしてください。
セルフケアにプラスして、これらのことを意識することで、より予防の効果が高まります。
今回は、頚椎症を予防するためのセルフケアをご紹介しました。
しかし、痛みや痺れなどの症状がある場合はセルフケアではなく、まず医師の診察を受けるようにしてください。
あくまでも、予防や症状が改善してからのセルフケアですので無理をしないように気を付けてください!!